電子書籍のさらなる普及を望んでいる当ブログですが、全て電子書籍で読んだほうがいいとは思っていません。ゆくゆくはそうなるかもしれませんが、今のところ紙の本が優勢な部分も多々あります。そのあたりは以前に電子書籍のデメリットをまとめましたので、ご参照ください。
それでは、電子書籍ではなくやはり紙で読んだほうがいい、紙で買ったほうがいい本とは一体どういうものでしょうか。思いつく範囲で順番に見ていきます。
大型本
電子書籍の場合、多くはスマートフォン、Kindleやタブレット、もしくはパソコン上の画面に表示することになります。画面が大きければ大きいほど、電子書籍も大きく表示することが可能です。しかし実際のところ、20inch以上のデスクトップで電子書籍を読むことは少ないでしょう。大きくても17inchのラップトップ、標準は10inch前後のタブレットや電子書籍リーダー、小さいものだと5inch前後のスマートフォンで読むのが標準だと思います。
そうなった場合に、大型本はかなり縮小して表示されることになります。大型本の代表格は絵本や写真の本などです。大きいサイズならではの描画や迫力が持ち味であり、小さな画面で見ると魅力が損なわれてしまいます。文字が読めない可能性も出てきます。
また、絵本などは大きく広げて子供と一緒に読んだりする機会も多いと思います。電子版だとデバイス自体がそこまで大きくないため、子供と並んで見るには不向きな印象が強いです。
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大型本の電子版はかなり値下げされていることも多いです
シェアしたい本
先ほど事例にあげた絵本もそうですが、紙の本の優位な点はその場に広げて一緒に見たり、貸し借りしたり誰かとシェアできる点です。二人並んで読みたい本や、人と貸し借りすることを前提にしている本は、紙の本で買ったほうがいいでしょう。
例えば誰か友達と同じ作家の本を買い揃えて読む場合、二人共が全部揃えるより、お互い半分ずつ買って、貸し借りし合えばコストを半分に抑えることができます。3人になれば1/3です。
電子書籍で買う本は、自分一人だけで読むことが前提となります。本をコミュニケーションの媒体として用いたり、コミュニティの共有財産として所有したい場合は紙の本が優れています。
Amazonで売っていない本
電子書籍の代表格であるKindle本であれば、Amazonで購入することになります。多くの本はKindle版だけでなく、紙の本も同時に取り扱っています。しかし中には、Kindle版どころか紙の本でさえAmazonで取り扱いのない本もあります。Amazonにはなんでも売っていると思いがちですが、Amazonで売っていない本はけっこう多いです。
例えばZINEや二次創作本のような個人出版の本を、Amazonで見かけることはありません。電子版のみ販売を行っているケースはありますが、紙の本で出版されているZINEはAmazonで買えないことが多いでしょう。その他にも絶版になった本で、在庫が永遠に補充されない本や、マイナーで検索にも引っかからない本はたくさんあります。専門書などもAmazonで取り扱っていない本は数多く存在します。
そのような本をどこで買い求めるのかというと、古書店や専門書を取り扱っている限られた本屋になります。Amazonで売っていないような本ばかり取り扱っている本屋は、探せばたくさんあります。そういう本は当然電子版が存在しません。Amazonで買えるものはAmazonで、それ以外は売っている店に出向き、紙媒体で買い求めるしかありません。
コレクターズ・アイテム
本にはただ読めればいいものと、そうでないものの二種類あります。ただ読めればいい本については、電子版で購入したほうがあらゆる点で便利でしょう。そうでない本とはどういう本か。一つはコレクターズ・アイテムとしての本です。コレクターズ・アイテムは、読むという用途よりも所有することが目的になります。コレクションとして集めたり、インテリアのように飾ることのほうが読むことよりも重要になったとき、その本はコレクターズ・アイテムと化しています。
コレクターズ・アイテムの典型は、サイン本です。電子版にサイン本はありません。電子署名されたサイン本にも価値はないでしょう。サイン本は直筆だからこそ価値があり、コレクションの対象となります。その他には、装丁の凝った本がコレクターズ・アイテムとなります。生地や手触り、カバーのデザイン性に優れた本など、内容を読む以外の付加価値がそこにはあります。手に持って眺めたり、本棚に並べたりすることで、その価値を確かめることができます。電子版ではその役割を果すことができません。
その他にも音楽データとアナログ盤の違いのように、紙の本には紙の手触りといったアナログならではの楽しみがあります。
電子版では買えない価値がある
絵本や写真の本など、電子版と紙の本両方を取り扱っているものも多く存在します。しかしそれらはやはり、紙の本で買ったほうがいいような気がします。電子版で売っていないものは別として、電子版で買えるものについても、紙の本ならではの用途や魅力が存在し、あえて電子版を購入することで価値が損なわれることもあります。
いくら電子書籍が便利だとしても、それぞれの用途、特性を理解することが重要ですね。その中には電子版で買えない価値もあります。買えるものは電子書籍で。