クレイジージャーニーでもお馴染みになったノンフィクション作家、高野秀行さんの本はほとんどが電子化されています。まずは著者の高野さんと、どんな本を書かれているのか簡単な紹介から始めていきたいと思います。
高野本ってどんな本?
高野さんは早稲田大学探検部出身のノンフィクション作家です。探検部時代にコンゴを調査した記録『幻獣ムベンベを追え』にて作家デビュー、以後20年以上辺境をテーマに本を書かれています。高野さんが言う辺境とは、特定の地域に限らず世間でよく知られていないもの全般を指します。例えば生物や習慣、文化などもそこに含まれます。高野さんの書かれる本は、そういう未知を追いかけ、探り、解明する過程を記した冒険スペクタクル本です。
新刊!『辺境メシ』
2年ぶりに出た新刊は『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』。文春オンラインで連載されていた「高野秀行のヘンな食べもの」を書籍化したものです。一部は今でもネット記事で読めるので、興味が湧いたらまずそちらを立ち読みしてみては?
殿堂入りの代表作
イメージが浮かびづらいかと思いますので、具体的な事例を挙げていきましょう。高野さんの代表作は3作あります。
謎の独立国家ソマリランド(2013)
高野さんが今のように有名になったきっかけが、この「謎の独立国家ソマリランド」でした。アフリカのソマリアという国をご存知でしょうか。一昔前はソマリアの海賊が有名になり、その前にはブラックホークダウンという映画で有名になった危険なエリアです。
そのソマリアの中に、平和で安全な国「ソマリランド」があるという噂を聞きつけ、高野さんは潜入することにしました。果たしてそんな幻みたいな国が実在するのでしょうか。高野さんはこの本で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞されました。
西南シルクロードは密林に消える(2003)
古代の文献によると、シルクロードは3つあったと言われています。有名なのがサマルカンド等を通る北のルート。そのうちの一つ、密林を通る最古のルートである西南シルクロードだけはいまだよくわかっていません。
高野さんは中国からミャンマーの国境を越え、カチン独立軍の助けを借りながら西南シルクロードの謎を解明しようと、踏破を試みます。
アヘン王国潜入記(1998)
東南アジアのゴールデントライアングルと呼ばれた地域は、ヘロインの元になるケシ栽培で有名な地域でした。その中にあるミャンマーの山奥、ワ州という地域の村に高野さんは潜入し、半年間ケシ栽培を体験しながら現地の人たちと生活を共にします。
非合法ビジネスの真相を暴く、といったジャーナリスティックな内容ではなく、ケシ栽培で成り立っている村の文化や習慣、意識などをケシ農業と共同生活を通して実感し、記された体験記となっています。
人気のエッセイ
高野さんの代表作を挙げると「リアルインディージョーンズ」のような印象を抱きがちですが、実際に本を読むとその印象が崩れます。高野さんの本の特徴は、そのハードボイルドなテーマにかかわらず非常におもしろおかしく書かれているところです。
その様子は冒険活劇でも伺うことができますが、日常系非日常エッセイではそういったおもしろおかしい部分が抽出されています。
ワセダ三畳青春記
異国トーキョー漂流記
腰痛探検家
多数の著作
一番最近に書かれた本は「謎のアジア納豆」であり、このような食文化をテーマに書かれることもあります。
謎のアジア納豆
イスラム飲酒紀行
移民の宴
最近はほとんどないですが、デビューのきっかけとなったUMA(未確認生物)モノの著作もいくつか存在します。
幻獣ムベンベを追え
怪魚ウモッカ格闘記
怪獣記
地域モノとしては「ソマリランド」の続編となる「恋するソマリア」など、一般的には行きづらい国や地域を訪れ、紹介されています。
ミャンマーの柳生一族
未来国家ブータン
恋するソマリア
その他にもまだまだ多数の著作がありますので、高野本にハマった人は気になるタイトルから選び、Kindle本にて読んでいきましょう。